住むほどに、美しく。
完成した日を頂点にしないこと。 十年後、二十年後にいちばん良い顔をしている家であること。 KIORI ARCHITECTS が住宅を設計するときの、四つの態度をご紹介します。
土地を読む
設計の最初の作業は、机の上ではなく敷地の上にあります。 朝と夕方の二度、時間を変えて立ち、光の入り方と風の抜け方を確かめます。
隣家の窓がどこを向いているか。道路からどこまで見えるか。 夏の西日はどの壁に当たるか。冬に底冷えするのはどの面か。 これらは図面や地図では分かりません。 条件の悪い土地ほど、読み方次第で面白い家になります。
光を配る
明るい家とは、窓が大きい家のことではありません。 必要な場所に、必要な質の光が届いている家のことです。
南面の大開口は、夏の暑さと家具の日焼けを連れてきます。 安定した明るさが欲しい書斎には北からの光を、 朝に人が集まる台所には東からの光を。 窓は数ではなく、向きと高さで効き方が変わります。
素材を選ぶ
新品のときがいちばん美しい素材と、時間が経つほど良くなる素材があります。 住宅では後者を選びます。
ただし、すべてを無垢材にすることが正解ではありません。 手が触れる場所、視線が集まる場所、水がかかる場所を見極め、 必要な範囲にだけ良い材を使います。 予算はそのために配分するものだと考えています。
木Timber
無垢の木。手が触れるところにだけ、良い木を使う。
石Stone
土間や踏み石。濡れて色が変わることまで含めて選ぶ。
左官Plaster
塗り壁。光が当たる角度で表情が変わる面をつくる。
和紙Washi
建具と照明。直射をやわらげ、部屋の奥まで光を運ぶ。
時間に耐える
流行の形は、十年で古びます。 寸法と比例、光の入り方、素材の質感。 古びないのは、そちら側にあるものだけです。
設備は必ず更新の時期がきます。 だからこそ、更新しやすい納まりにしておくこと、 更新できないもの(構造・断熱・開口の位置)にこそ手をかけること。 長く住む家では、この順番が効いてきます。